共有名義(共有持分)の土地や家を売却する方法と注意点を図解で徹底解説

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共有名義の不動産売却はどうしたらいい?

複数の人で家や土地を共有で所有する形態のことを「共有名義(共有持分)」といいます。

夫婦で購入する場合や、相続した不動産などで共有名義になることはよくあることです。

共有名義の場合は、所有している間は問題にならないのですが、売却する時に問題になることが多いのです。

所有者が1人の場合とは売却方法が異なるので、しっかりと把握しておきましょう。

共有名義の物件を売却する際の疑問

  • 共有名義の物件の売却方法は?
  • 共有名義の物件の売却で税金やトラブルなど気を付けることは?
  • 共有物件の売却をしたら、確定申告は全員がするの?

今回の記事を読めば、これらの疑問を解消でき、共有名義の物件をスムーズに売却することができるようになります。

この記事のまとめ

  • 相続や夫婦で不動産を購入すると共有名義になることがある
  • 共有名義の不動産は全員の同意がないと売れない
  • 共有名義の不動産を売却すると持分割合で利益が分配される
  • 代表者一人が売却活動をして、売却後に利益を分配することを換価分割という
  • 共有名義でも売却益が出た場合は確定申告をする

共有名義の不動産の売却について学んでいきましょう。

目次

共有名義(共有持分)とは

共有名義とは

共有名義と共有持分

  • 共有名義とは、2人以上で1つの不動産を所有していること
  • 共有持分とは、共有名義における各所有者の所有権の割合のこと

例えば、夫婦で半分ずつお金を出し合って購入した共有名義の家は、夫が50%、妻が50%の共有持分の家ということです。

共有名義になる3つのパターン

共有名義の物件の多くは

共有名義になるパターン

  1. 複数で相続
  2. 夫婦で購入
  3. 親子で購入

の3つのパターンになります。

共有名義になるパターン1. 複数で相続

所有者がなくなった時に相続人が複数人いると、共有名義にして不動産を相続することがあります。

相続人も亡くなっていると、さらに相続が発生して複雑になっていきます。

例えば下図のように、Aさんが亡くなるとAさんが所有していた不動産はBさん、Cさん、Dさんに相続されます。

その時にCさんがすでに亡くなっていると、さらに相続が発生してEさん、Fさん、Gさんにも相続されます。

※図中の数字は共有持分の割合を示します。

相続

共有名義になるパターン2. 夫婦でマイホームを購入

夫婦でお金を出し合った場合は共有名義となります。

例えば、夫が3,000万円、妻が1,000万円でローンを組んで4,000万円のマイホームを購入した場合は、夫が75%、妻が25%の共有持分になります。

支払った金額の割合と、共有持分の割合が違うと贈与とみなされ、贈与税がかかるので気を付けましょう。

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共有名義になるパターン3. 親子共有名義で二世帯住宅を購入

親子でそれぞれ借入して二世帯住宅を購入した場合には、共有名義になります。

子が住宅ローン、親が現金でもそれぞれ出し合っていれば、共有名義となり、出した分だけ共有持分となります。

支払った金額の割合と、共有持分の割合が違うと贈与とみなされ、贈与税がかかるので気を付けましょう。

名義人は「登記事項証明書」で確認する

登記事項証明書(登記簿謄本)を確認すれば、誰が共有名義になっているかわかります。

下図の赤で囲った部分に現在の所有者の名前が記載されます。

謄本について

登記事項証明書の取得方法

登記事項証明書を取得する方法は3つあります。

登記事項証明書は、「地番」がわからないと取得できません。

地番は住民票の地番とは異なることがあるので、あらかじめ調べておくことをオススメします。

地番を調べるには、家の所在地を管轄する法務局に行って調べることができます。

下図のようなブルーマップという地図で地番を確認します。

ブルーマップ

※出典:ZENRIN

所在地の管轄法務局は、法務局のホームページから検索できます。

下記資料があれば地番が載っているので法務局に行く必要はありません。

地番が載っている資料

  • 住宅ローンを借りたときの「抵当権設定契約証書」
  • 不動産を購入した時の「売買契約書」「重要事項説明書」
  • 市町村から送られてくる「固定資産税納税通知書」

登記事項証明書の見方

一戸建ての登記事項証明書の場合は土地と建物が分かれています。

分譲マンションの区分所有の場合は、建物の登記事項証明書の中に土地の持分が表記されています。

所有者が載っているのは赤枠で囲った「権利部(甲区)(所有権に関する事項)」です。

登記事項証明書

※出典:法務省

権利部(甲区)をみると過去の所有者が古い順に記載されています。

一番最後に載っている人が現在の所有者で、何年に現在の所有者になったのかもわかります。

共有名義になると「共有者 持分2分の1 山田太郎 持分2分の1 鈴木花子」と表記されます。

共有名義の土地や物件を売却するルール

共有名義の不動産の売却に関するルールを解説します。

共有持分は単独で売却可能

共有持分は売却可能

共有持分は単独で売却可能です。

例えば、ある不動産の50%を共有持分として所有していたとすると、50%の共有持分を売却することは単独でできるということです。

不動産を全て所有しているわけではないので自由度が低い権利になります。

そのため共有持分として売却しても売れないか、かなり安くなるかどちらかになります。

共有名義の不動産の売却は共有者全員の同意が必要

共有者全員の同意が必要

共有名義の不動産の全体を売却するには「共有者全員の同意が必要です。

共有者の内の一人でも反対する人がいれば売却することはできません。

売却することは同意できても、価格に納得できないことはよくあることです。

共有名義の不動産の売却の場合にはあらかじめ最低売却価格を決めておくとスムーズに話が進みます。

共有持分割合の決め方

共有名義の不動産には共有者に共有持分割合があります。

相続の場合は「法定相続分」または「遺産分割で定めた分割割合」によって決まります。

例えば相続人が「配偶者と子供2人」の場合は、法廷相続分による共有持分割合は、配偶者が50%、子供が25%ずつに割り振られます。

夫婦などで共有で購入した場合には、支払った金額によって持分割合が決まります。

例えば夫婦で5,000万円の自宅を購入して、夫が3,000万円、妻が2,000万円を支払ったとすると、共有持分割合は夫が3/5、妻が2/5となります。

共有名義人が行えることの範囲

共有名義人が行える以下の5つについて解説します。

共有名義人が行えること

  1. 処分
  2. 利用
  3. 改良
  4. 保存
  5. 使用

1. 処分

共有名義人が行える処分

処分とは不動産売却や抵当権の設定、家屋の解体のことを言います。

不動産に対して大きな変化をもたらす行為として、共有名義人全員の同意が必要になります。

2. 利用

利用とは不動産を短期的な賃貸に出したり、賃貸借契約を解除したりすることです。

例えば、共有名義のアパートを貸し出した場合は、持分割合に従い全ての共有名義人へ利益を分配することが原則となっています。

利用するためには、共有名義人の持分割合が過半数以上の合意が必要になります。

3. 改良

改良とは不動産のリフォームやリノベーションをすることです。

家屋が経年劣化してきたり、設備が古くなってくるとリフォームやリノベーションを行いますが、共有名義の不動産の場合は共有名義人同士での話し合いが必要となります。

改良するためには、共有名義人の持分割合が過半数以上の合意が必要になります。

発生する費用は共有持分割合に応じた支払い割合にする必要があり、もし共有持分割合と異なると贈与税の対象となりますので気を付けましょう。

4. 保存

保存とは建物の現状を維持するために建物の傷みを補修したり不法占拠者を追い出したりすることをいいます。

現状を変更しない範囲で維持するために行われる行為なので共有名義人単独で実行が可能です。

5. 使用

使用とは共有している不動産に居住したり、実際に使用する行為のことを言います。

共有名義人であれば、不動産全体を使用することが認められています。

共有名義人同士で話し合った上で、共有名義人単独で実行が可能です。

不動産の共有を避ける2つの方法

共有名義にすると不都合なことが多いです。

単独で売却できない、共有持分を売却されて第三者が所有するなど、自分でコントロールできなことが多くあります。

できれば共有名義は避けた方が良いです。

どのようにして避けるのかを解説していきます。

不動産を取得するパターンは購入するか、相続を受けるかの2パターンになります。

購入する時には共有名義にするかどうかは選択できますので、単独名義を選択します。

相続の場合は遺産分割をするタイミングで共有名義にするかどうか決まります。

不動産の遺産分割では「現物分割」「代償分割」「換価分割」の3種類があります。

現物分割は土地を分筆して分ける方法です。

代償分割は1人が他の相続人に代償金を払って単独で不動産を取得する方法です。

換価分割は不動産を売って売却金を分ける方法です。

上記の遺産分割の3つの方法のいずれかで、共有名義を避けることができます。

共有名義の避け方

共有物分割をして共有名義を解消する

不動産取得時に共有名義にした場合にも、「現物分割」「代償分割」「換価分割」のいずれかの方法で共有名義を解消することができます。

共有名義人同士が疎遠になる前に早めに実施することをオススメします。

弁護士に相談する

どうしても共有名義の解消が困難な場合は不動産に詳しい弁護士に相談しましょう。

共有名義ではトラブルになることが多いので早めに相談しておくことが大事です。

共有名義の不動産の売却時の税金は?

贈与税に気を付けましょう。

共有名義で売却をしても共有持分割合で、利益を分割すれば特別な税金はかかってきません。

共有持分割合で分割しないと、不動産の権利を一部贈与したとみなされて贈与税がかかってくる可能性があります。

例えば、不動産を2人で共有持分50%ずつ持っていたとします。

5,000万円で売却できた場合は通常は2,500万円ずつをわけるのですが、3,000万円と2,000万円というふうに共有持分とは違う割合で分割すると500万円が贈与とみなされて贈与税がかかってきます。

共有名義の不動産の売却は共有持分割合で分割しましょう。

共有名義不動産の売却時に必要な書類

共有名義不動産を売却するのに必要な書類は、通常の不動産売却と同じです。

しかし、書類によっては共有者全員分が必要だったり、共有者が遠方でやり取りに時間がかかってしまうケースがあるので事前に調べて準備しておきましょう。

登記識別情報 (登記済権利証)

不動産の登記が完了した際に、登記名義人に対して発行される書類です。

登記人が不動産の所有者であることを証明する大事な書類です。

不動産の売却の際には登記識別情報か登記済権利証のどちらかが必要となります。

地籍測量図、境界確認書

売却する不動産の土地の面積や隣地との境界線をはっきりとするために必要な書類です。

地籍測量図や境界確認書は所有者のみが持っている書類なので持っていない場合は土地家屋調査士に依頼して測量してもらいます。

隣地との境界確認など時間がかかることが多いので必要なことが判明したらなるべく早めに依頼しましょう。

共有者の情報

共有所有者であることを証明するために下記の身分証明書類を共有者全員が準備します。

身分証明書類

  • 実印
  • 印鑑証明書
  • 身分証明書
  • 住民票

共有名義不動産を売却する際の流れとは?

共有名義不動産の売却には共有者全員の同意が必要です。

全員の同意を得て進めるのは時間と労力が必要です。

1つずつ解説していきます。

共有者が誰なのかを把握する

売却前に必ず、共有者が誰なのかを確認しましょう。

相続を繰り返すと知らない間に共有者が増えていることがあります。

共有者は登記事項証明書を確認することでわかります。

登記事項証明書の確認方法はこちら

まとめ役を決める

共有名義の不動産の売却には全員の同意が必要で難しいのでまとめ役が必要です。

不動産に関する知識が必要なだけでなく、必要であれば税理士や弁護士の手配も行うので高度な専門知識が必要になります。

売却のまとめ役には共有名義の不動産の売却の経験が豊富な不動産業者に依頼することが最も有効的です。

話し合いをスムーズに進めてくれます。

費用の負担割合を決める

不動産を売却するには様々な費用がかかります。

不動産売却にかかる費用

  • 仲介手数料
  • 登録免許税
  • 抵当権抹消費用
  • 印紙税
  • 測量費

これらの費用の負担割合をあらかじめ決めておくことでトラブルを防ぐことができます。

基本的には共有持分割合に応じて負担することがオススメです。

最低価格を決めて売却活動を始める

共有名義の不動産の売却には全員の同意が必要です。

不動産が売れなかった場合に値下げをしていきますが、都度話し合っていると労力がかかってしまいます。

あらかじめ最低価格を決めておけばスムーズに値下げ作業ができるので、最低価格を決めておきましょう。

最低価格を決めるためには不動産一括査定で査定してもらうことがオススメです。

オススメの一括査定サイトを解説した記事がありますので参考にしてください。

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確定申告を行う

不動産を売却して利益が出た場合は、確定申告をして所得税と住民税を支払う必要があります。

確定申告は共有者全員が個別で行うので忘れないようにしましょう。

売却して利益が出た場合でも、居住用財産である場合は、条件を満たせば確定申告で譲渡所得税から3,000万円を控除できる制度を利用できます。

他の共有者と会わずに土地の売却を進める方法

共有名義の不動産の売買契約の際には共有者が集まる必要があります。

しかし、「遠方で行けない」「高齢のため行けない」などの理由があり集まれないこともあります。

そんな時のために他の共有者と会わずに売却を進める方法をお伝えします。

売買手続きを代理人(親族や弁護士など)に委任する

売買手続きを代理で行ってくれる代理人にお願いする方法です。

代理人になるための資格は必要ないので信頼できる親族や弁護士などに依頼をすると良いでしょう。

代理人に依頼する際は委任状に下記内容を記載しておきましょう。

委任状への記載事項

  • 委任した日付
  • 委任者と代理人の住所・氏名
  • 委任事項(できるだけ詳細に)
  • 代理させる目的物の表示(不動産の住所など)

不動産会社へ他共有者からの売却同意の取り付けを依頼する「持ち回り契約」

通常は売買契約は共有者全員が集まって確認して印鑑を押しますが、「持ち回り契約」だと全員が集まらなくて済みます。

共有者1人ずつに対して売買契約を行い印鑑を押して行ってもらい、最終的に全員の印鑑をもらったら売買契約成立ということになります。

共有者同士が会うことなく売買契約が成立して引き渡しへと進んでいきます。

手間がかかりますが売買の仲介業者が行ってくれる場合もあるので確認してみましょう。

相続した共有名義の不動産を売却するときの注意点

相続した共有名義の不動産の売却について詳しく解説していきます。

手続きしやすいのは換価分割

一般的には相続した不動産は共有名義で登記した後に売却して現金を分配します。

しかし、不動産を登記してすぐに売却する手間があるので、相続では換価分割という方法が認められています。

換価分割とは、不動産を売却してから、その売却代金を分ける方法のこと

現金化してから分配するので不公平感がなくトラブルが少ない方法です。

また、ほしくない不動産を誰か1人が相続しなくてはいけないという事態も避けられます。

例えば、相続人が4人で平等に分けることとします。

不動産の売却価格が4,000万円なら1人1,000万円ずつ相続することになります。

換価分割の方法

換価分割の流れ

共有名義で不動産を相続することが決まったら、亡くなった人から相続人の中の代表者の名義に変更します。

その後に売却して得られた利益を相続人で分けます。

名義人が1人で売却した現金を分けるので贈与にあたるのではないかと思いますが、贈与にはあたりません。

相続の段階で換価分割と決めていれば、一時的に代表者に名義変更しても売却後に利益を分配することは非課税でできます。

相続でないのに換価分割をすると贈与になりますので気を付けましょう。

換価分割にしても不動産で相続するのと同じなので、相続税に対する節税効果があります。

換価分割の4つのメリット

換価分割には4つのメリットがあります。

売却の手続きがしやすい

共有名義で相続すると共有者全員の同意がないと売却できないのですが、換価分割の場合は代表者の名義で単独で決めることができるので手続きが容易です。

平等に分けられる

現金で分割するので平等に分けることができます。

もし不動産を分割して相続すると、全員分を平等にわけることは不可能です。

換価分割はトラブルも少なくシンプルなやり方です。

納税資金を準備できる

相続税は現金で納める必要があります。

不動産で相続をしても相続税は発生しますが、評価が高い物件だと大きな相続税が発生する可能性もあります。

換価分割なら現金で受け取るので相続税の支払いにあてることができます。

相続税を抑えることができる

不動産を売却して現金で相続しますが、相続税は相続が発生した時点での計算になるので、売却金額は関係なく不動産の評価に対しての相続税となります。

よって現金での相続よりも税金を抑えることができ、さらに現金で受け取ることができるというメリットがあります。

換価分割がオススメな2つのケース

利用する予定がない不動産

「建物が古い」、「住む人がいない」など利用する予定がない場合は、相続しても固定資産税がかかるだけなので損をします。

換価分割なら売却して現金にするので、相続後の固定資産税もかかりません。

相続人同士の関係が希薄な場合

相続人同士のつながりが希薄だったり、遠方で来れない場合は売却の際に手間がかかります。

換価分割にしていれば現金での相続になるので相続人同士で会う必要もなくなります。

遺産分割協議前のトラブルについて

相続が発生したら、相続人同士で遺産の分け方を決める「遺産分割協議」を行います。

遺産分割協議が行われる前に自分の持分を売却してしまうことがあります。

もし、売却しても全体の売却に問題なければよいのですが、支障をきたす場合は、相続人で買い戻すことができます。

売却から1か月以内という期限付きですが、この期間内であれば買い戻すことができるというのが「相続分取戻権」といいます。

期間は違いますが、商品を買ってから返品する権利があるクーリングオフの売却版と思ってもらえれば良いです。

共有名義の不動産で起こりうるトラブルとは?

共有名義の不動産には発生する可能性のあるトラブルがいくつか存在しています。

事前に確認して備えておきましょう。

共有物分割請求の可能性

「共有物分割請求」とは共有名義人の1人が共有物を分割してほしいと請求をかけることで、共有名義人には共有物分割請求をする権利が認められています。

しかも、法的効力があるので「共有物分割請求」をされたら話し合いをする必要があります。

話し合いでも決まらない場合は裁判をして判決に従うことになります。

判決によっては不動産が競売にかけられて相場よりも安く売却させられる可能性もあります。

共有物分割請求になる前に、事前に話し合って売却してしまうか分筆して完全に個人の名義にするかして共有名義を外す手続きをとることをオススメします。

買取業者による強引な売買

共有名義人の1人が買取業者に自分の持分を売却した場合は買取業者によって他の共有名義人に強引な売買を持ちかけられる可能性があります。

買取業者が共有名義の不動産の共有持分を買い取った場合は次の2つのパターンが考えられます。

買取業者が共有持分を買い取った場合の行動パターン

  • 他の共有名義人の共有持分を買い取り、不動産全体の所有権を得る
  • 共有持分を第三者に売却する

いずれにしても、残された共有名義人にとっては不都合なので、共有名義持分を売却する場合は共有名義人同士で話し合い、できれば共有名義人に売却することをオススメします。

離婚時の財産分与が複雑になる

夫婦の共有名義で購入した家は離婚時には財産分与が複雑になることがあります。

財産分与とは離婚時に婚姻関係中に築いた財産を分け合うことで、基本的には半分ずつすることになります。

離婚した時の共有名義の不動産の処理の仕方は大きく分けて以下の2つがあります。

離婚時の共有名義の不動産の処理の仕方

  • どちらか一方が相手に代金を支払い買い取る
  • 売却して利益が出たら分ける

共有名義なのでどちらか一方が家を受け取ることはできません、財産分与で半分の代金を支払って買い取ることになります。

共有名義から単独の名義になるので離婚後にトラブルになることはありません。

しかし、家がまだ新しいと多額の現金が必要になることがあるので難しいことが多いです。

離婚時に家を売却する選択肢を選ぶことが多いです。

売却してしまえば現金で利益が出るので分けるときにトラブルになることは少ないです。

ただし、ローン残高が多いと売却しても完済できないことがあるので注意が必要です。

その際は手持ちの現金を出すか、ローンが残った状態で売却する任意売却という選択をする必要があります。

離婚時の財産分与の方法

詳しくは家売却は離婚後がオススメで解説していますので参考にしてください。

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相続で権利関係が複雑になる

相続をすると持分が複雑になることがあります。

相続

図のようにAさんが亡くなった時にAさんの不動産の相続は妻Bさんと子供のCさんとDさんになります。

Cさんが亡くなっている場合は、Cさんの家族に相続が発生します。

Eさんは1/8で孫にあたるGさんとFさんには1/16ずつの共有持分が発生します。

この状態をほっておくと、さらに共有名義人が亡くなると共有名義人が増えて複雑化します。

複雑になる前に売却することが大事です。

売却できない共有名義の不動産の持分を放棄する方法

売却できずに困っている場合は、共有持分の権利を放棄することができます。

単独で所有している不動産の権利を放棄することはできませんが、共有持分の権利は民法上、放棄することが認められています。

放棄した共有持分は他の共有名義人に分配されるので、メリットはあります。

持分放棄の登記が必要

持分を放棄するには持分放棄という登記が必要になります。

放棄する時は共有名義人の話し合いで決まるので気を付けましょう。

持分放棄の登記がされると、他の共有名義人に持分が分配されます。

贈与税がかかるケース

持分放棄をすると、自分の持分を贈与しているとみなされて、贈与税がかかる可能性があります。

贈与かどうかは、物件の価値や関係性、放棄した持分の割合などが関係してきます。

贈与税がかかるかどうかは税理士に確認してみましょう。

共有名義の不動産の売却でかかる税金・手数料

共有不動産の売却でも通常の不動産の売却と同様の税金・手数料が発生します。

税金・手数料

  • 仲介手数料
  • 登録免許税
  • 印紙税
  • 譲渡取得税

これらの税金や手数料を共有持分割合に従って支払います。

例えば仲介手数料は400万円を超える取引では販売価格×3%+6万円がかかります。

Aさん(共有持分50%)、Bさん(共有持分25%)、Cさん(共有持分25%)が所有しているマンションが1,000万円で売れたとすると、それぞれの支払いはAさんが21万円、BさんとCさんは13.5万円になります。

仲介手数料の支払い

  • Aさん→1,000×0.5×0.03+6=21万円
  • Bさん→1,000×0.25×0.03+6=13.5万円
  • Cさん→1,000×0.25×0.03+6=13.5万円

必ず確定申告する

売却して利益が出たら必ず確定申告しましょう。

確定申告をしなかった場合は、税務署に見つかって追徴課税を受ける可能性があります。

動く金額が大きく、目を付けられやすいので必ず確定申告をするようにしましょう。

共有名義の土地や物件をスムーズに売る5つの方法

共有名義の土地や建物の売却の方法を5つ紹介します。

  1. 全員合意して共有名義の不動産として売却する
  2. 委任状を使って売却する
  3. 他の共有名義人に買い取ってもらい売却する
  4. 共有物分割請求をしてから売却する
  5. 分筆、区分所有にしてから売却する

全員合意して共有名義の不動産として売却する

共有名義の不動産の売却で最もポピュラーな方法です。

売却活動中に全員の合意を取ることは難航するため、最初に最低売却価格を決めておくことが大事です。

最低売却価格を決めるためには不動産一括査定サイトでの査定がオススメです。

不動産一括査定の評判・口コミを解説した記事がありますので参考にしてください。

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委任状を使って売却する

不動産を売却するために売買契約を締結します。

売買契約の際には共有者全員が集まる必要があります。

しかし、共有者が高齢だったり、海外に住んでいて集まれないということもあるので、共有者の1人に委任状を渡して委任して売却してもらう方法もあります。

委任状は必ず本人間でやりとりをする必要があり、もし偽造していたりすると売買契約自体が無効になる可能性があります。

他の共有名義人に買い取ってもらい売却する

共有名義の不動産を1人の共有名義人に買い取ってもらい売却する方法です。

1人が購入すれば、1つのまとまった不動産になり、価値が上がる可能性があるのと売却活動が容易になることがメリットです。

例えばAさん90%、Bさん5%、Cさん5%だとAさんがBさんとCさんの分の共有持分を買い取って売却するのが最もスムーズで効率的です。

もし、共有名義の不動産を手放したいと思っている方は、まずは共有持分の一番大きい人に売却することを持ちかけてみましょう。

共有物分割請求をしてから売却する

共有名義の不動産は、共有物分割請求によって共有を解消し、売却することができます。

共有者間で話し合っても、まとまらない時は裁判所で分割請求することも可能です。

土地などを分筆する現物分割や、売却した金額を分配する代金分割などの方法があります。

分筆、区分所有にしてから売却する

土地なら分筆、建物なら区分所有にして売却することもできます。

単独所有になるので自由に売却することができます。

気を付けないといけないのは、面積で均等に割っても価値は均等にならなかったり、全体の価値が落ちることです。

土地の形状

分筆すると間口が狭くなったり、一方が旗竿になって売りにくくなることがあります。

区分所有も1Fよりも上層階の方が値段が高いなどの差が出ますので、分け方には気を付けましょう。

おすすめの不動産一括査定サイトはどこ?

共有名義の不動産を高く売却するには慣れた不動産会社を選ぶことが大事です。

より高く売却するためには複数の不動産一括査定サイトを利用することをオススメします。

不動産一括査定とは「複数の不動産会社に一度で査定依頼ができる無料のWEBサービス」です。複数社に査定依頼することで、正しい売却相場を把握することが可能です。 不動産一括査定とは

6社のうち、何社かは「似たような意見」を言い、査定額も似たような感じになると思います。

その「似たような意見」こそが、世間一般の常識と解されます。 常識を探るためには、必ず複数の不動産会社から査定を取ることが必要となります。

共有名義の不動産を売る際は、まずは不動産一括査定サイトを利用して、「似たような意見」を集めることから始めるようにしてください。

【2024年5月最新】不動産一括査定サイトのオススメ6選

数ある不動産一括査定サイトの中で当サイトが厳選してオススメするサイトは下記6つです。

厳選したオススメの不動産一括査定サイト6選
  1. すまいValue:人口の多い市区町村にオススメ
  2. スーモ:万人にオススメ
  3. HOME4U:万人にオススメ
  4. イエウール:地方・田舎にオススメ
  5. リガイド:収益物件の売却にオススメ
  6. ホームズ:収益物件の売却にオススメ
比較項目 すまいValue スーモ HOME4U イエウール リガイド ホームズ
運営会社 小田急不動産(株)
住友不動産販売(株)
東急リバブル(株)
野村不動産ソリューションズ(株)
三井不動産リアルティ(株)
三菱地所ハウスネット(株)
株式会社リクルート 株式会社NTT データスマートソーシング 株式会社Speee 株式会社ウェイブダッシュ 株式会社LIFULL
サービス開始年 2016年 2009年 2001年 2014年 2006年 2008年
査定数 非公表 非公表 累計45万件 20万件 非公表 非公表
サイト利用者数 非公表 月間訪問者数 約2188万人 年間700万人 累計1,000万人 非公表 非公表
提携している不動産会社の数 6社 2,000社以上 2,000社以上 2,000社以上 900社以上 2,000社以上
同時依頼数 6社 10社以上 6社 6社 10社 10社
机上査定 × ×
備考欄など
特徴 国内最大手に頼める。 都会に強く地方に弱い傾向がある。 賃貸で有名なスーモが運営。 大手~地域密着まで幅広い不動産会社が参加。 NTTデータグループなので安心感はトップ。 一括査定の歴史最長の老舗。 入力がLINE風でカンタン。 厳選された不動産会社がウリ。 運営も長く、旧SBIグループの安心感がある。 賃貸で有名なホームズが運営。 収益物件に強い不動産会社が多数参加。

※2024年5月現在

紹介した不動産一括査定は、どれも安心して利用できます。

ただし、それぞれの不動産一括査定には弱みがあります。その弱みを防ぐ方法があります。

弱みを防ぐには不動産一括査定を併用利用(組み合わせ利用)するのです。

都心部や県庁所在地などの人口が多い都市の方

三井のリハウスや東急リバブルなどの国内最大手の不動産会社は、「すまいValue」にしか参加していません。

ただ、大手は両手仲介の可能性が高いです。対象地域(一都三県+大阪、兵庫)の方は、売主専門としている「SRE不動産(旧ソニー不動産)」も合わせて申し込んでおくと安心です。

また、大手・中堅・地域密着の不動産会社参加の

  • スーモ:賃貸で有名なリクルートが運営で、利用者数が多く安心
  • HOME4U:NTTデータグループ運営でセキュリティーにも強く安心

つまり最大手の不動産会社に依頼できる「すまいValue」に加えて、大手・中堅・地域密着の不動産会社に依頼できる「スーモ」「HOME4U」を組みわせるのです。

地方や郊外の方

下記3サイトを併用する
  1. スーモ
  2. HOME4U
  3. イエウール

大手の不動産会社は都心に強いですが、地方や郊外では対応できない場合があります。

特に「すまいValue」を使って依頼できる最大手の不動産会社は地方や郊外は対応していない可能性があります。

地方や郊外の方は「スーモ」「HOME4U」「イエウール」を併用するといいでしょう。

収益物件の方

下記3サイトを併用する
  1. リガイド
  2. ホームズ
  3. すまいValue※人口が多いエリア

収益物件の方は、収益物件の強い不動産会社の参加が多い「リガイド」「ホームズ」がオススメです。

特にリガイドは、売却だけではなく、賃料査定やリフォーム業者選びもできることから、今持っている物件を「リフォームして貸したい」という人にとっては、使いやすいサイトです。

また、人口が多いエリアは「すまいValue」に依頼しておきましょう。

大手はやはりそういったエリアの仲介は積極的で買手の情報も多くつかんでいるため、高く売れる人を見つけてくれる可能性が高いです。

不動産一括査定のオススメについては、下記記事で詳しく解説しています。

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まとめ

共有名義の不動産を所有することはトラブルにつながる可能性が高いので、できれば早めに売却することがオススメです。

売却の際の注意点も多く存在しているので、本記事を参考に売却活動を進めてください。

共有名義の土地や建物を売却する際によくある質問

共有名義の不動産を売却するとトラブルがある?

共有名義の場合は名義人全員の同意がないと売却できないです。

1人が反対すると売却できないので、トラブルになることが多々あります。

詳しくはこちら

共有名義の不動産を売却した時の確定申告は必要?

不動産を売却して利益が出たら確定申告をする必要があります。

詳しくはこちら

共有名義の不動産を売却した時の税金は?

不動産を売却をして利益が出たら課税対象になります。

ただし、自宅の場合は税控除が使えることがあるので確認しておきましょう。

詳しくはこちら

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