乗り換えや引っ越しの事情、金銭的な事情で車を売却する際「ローンがまだ残っている…」という人は少なくないと思います。
車を売る時にローン完済していれば何も気にすることはないですが、ローンがまだ残っている場合、下記のような悩みを持ちますよね。
- そもそもローン支払い中に車売ることができる?
- ローン中の車を売るときの手続は?
- 次の車のローンと現在の車のローンを一緒にできる?
事実として、ローン返済中の車は、大抵の場合所有者がローン会社になっています。そのため自分の車のように自由に売却はできません。
しかし、きちんとローン契約を理解した上で、必要な書類を準備すれば問題なく売却はできるのです。
加えて「ローン残債分以上の金額で売却」ができたとしたら、諸々の問題は簡単に片付きます。
そこで今回は、
- ローンが残っている車を売却する方法
- 少しでも車を高く売却する方法
をできるだけ具体的に分かりやすくご紹介します。絶対に知っておきたい鉄則を踏まえて紹介しますので、ぜひ参考にしてください!
結論:ローンが残っている車でも売却はできる!
先に結論をお伝えすると、ローンが残っている車でも売ることができます。
車を買う=ローンを利用するということは多いため、ローン中の車買取はよくあること。買取店も対応に慣れているのです。
注意すべきなのは、自動車ローンは、あくまで車購入資金を貸してくれるもの。車を売却するだけではローンは消えないことを覚えておいてください。
注意点:車を売ってもローンは残る
自動車ローンには、大きく2つの契約があります。
- 残価設定型ローン
- 一般的な自動車ローン
残価設定型ローンの場合、車を返却したらその時点でローン契約も終了します。
車両本体価格の一部をあらかじめ残価(=3年後や5年後の予想下取り価格)として据え置き、残りの金額を分割でお支払いいただくプランとなります。通常のクレジットよりも月々の支払い金額が抑えられます。月々の支払い額を抑えつつ、次のクルマへ乗り換えられるので「一定期間で新しいクルマに乗り換えたい方」、「ライフステージに合わせてクルマのサイズアップ・ダウンを考えている方」、「月々の支払い金額を抑えながらワンランク上のクルマに乗りたい方」に向いているプランです。
※出典:トヨタ購入サポート
一方、一般的な自動車ローンでは車を返却してもローンは終わりません。
買取店は、買取に対する査定額だけを振り込んでくれるので、その中から自分で残債を返済しないと自動車ローンが残ってしまうのです。
またローン会社によって、車を売却するならローンも返済しないといけない契約になっていることもあります。
そのため、車を売るときにはローンの扱いが非常に重要になってくるのです。
次は「買取時にローン残債をどう対応すればいいのか?」という疑問に答えていきます。
車売却額次第でローン残債の処理は変わる
自動車ローンは車を売却しても残るため、車を売ったあとに自分でローンを精算しなければいけません。
そこで対応を分けるのが「ローン残債と車売却額どちらが高いのか」。2つのケースで売却後の残債処理が変わるのです。
- 車売却額がローン残債を上回るケース
- 車売却額がローン残債を下回るケース
前者のように「売却額がローン残債を上回っている」のであれば問題ありませんが、下回っていた場合は若干手間がかかります。
それぞれのケースでの必要な対応を説明していきますね。
(1)車売却額がローン残債を上回るケース
ローン残債よりも車売却額が多い場合は、基本的に下記の流れに従って買取店に任せれば大丈夫です。
車売却額>ローン残債の場合の車売却手順
- 買取店で「ローン中の車を売りたい」と伝える
- 査定の結果、売却額がローンを上回ることを確認
- 買取店がローン会社とやり取りして売却手続き
- 一括返済してもお金が余れば差額が入金される
車売却時にはローンを精算する必要があるのですが、この精算手続きを買取店が代行してくれます。
例えば、ローン残債が70万円で売却額が100万円の場合、買取店は以下の手続きを行います。
- 売却額の100万円を使い、ローン会社に70万円を一括返済する
- 残りの30万円をあなたに振り込む
また車の名義がローン会社になっている場合、売却には「所有権解除」手続きが必要です。
ローン残債より売却額が上回っている場合は、その手続を買取店が代行してくれるので安心。
書類も買取店の指示に従えば問題ありませんが、事前に「所有権解除依頼書」を用意しておけばスムーズですね。
ローン会社に、売却するため所有権解除依頼書を送ってもらうよう依頼しておきましょう。
その際に正確なローン残債が伝えられるので、査定時に「いくら以上で売れれば良い」という指標になります。
後半で「車を高く売る方法」についても解説しますので、その際に上記金額を超えることを目指しましょう。
このように、ローン残債より売却額が上回っているケースは手続きがシンプルです。問題はその逆のケースなので、詳しく説明していきますね。
(2)車売却額がローン残債を下回るケース
車売却額がローン残債を下回る場合、売却額ではローンが完済できません。そのため差額を自分で支払うことになります。
ローンを精算してからでないと原則売却もできないため、以下3つから対応を選ぶことになります。
車の売却額<ローン残債の場合の車売却方法
- 自腹で差額を支払う
- 残債を次の車のローンに上乗せする
- 差額を再ローン契約する
自腹で差額を支払う
ローン残債と売却額の差額分を自腹するという方法で、これが一般的です。
数万円程度であれば現金で支払っても問題ないかもしれませんが、差額が数十万~となれば話は別。
貯金を切り崩して対応することもできるでしょうが、正直おすすめしません。
手持ち資金を投入してまで、差額を補填するのは家計への負担が大きいです。
残債を次の車のローンに上乗せ
残債が大きい場合の現実的な方法が、この「残債を次の車のローンに上乗せする」方法と次に紹介する「差額を再ローン契約する」方法です。
しかし対応時には注意が必要です。
手続きとしては簡単ですが、それによって毎月の返済額は確実に増えます。無理な返済にならないよう、事前にしっかりシミュレーションを行いましょう。
またローン契約において、前車のローン上乗せは心証が悪く、審査に通らない場合があります。
この方法が使えるかどうかは正直なところローン会社の審査次第であることを覚えておきましょう。
上乗せした金額のローンが高額になれば、当然審査に通らないため利用できません。
またディーラーや中古車販売店によっても断られる可能性があるので、購入時にはしっかり確認しましょう。
しかし、公式のサービスとしてローンの上乗せができることを明言している中古車販売店もあります。それが中古車購入・買取店ガリバーの「プラスローン」です。
ガリバーが提供する「プラスローン」
売却額を引いても残債があり、その上で次の車も購入したいとなれば、新しい車のローンに前のローンを上乗せすることになります。
ガリバーではこれを「プラスローン」として提供しています。
前提として車の売却と次の車の購入、どちらもガリバーで行うことで利用が可能。
またこちらも全員が使えるわけではなく当然審査があり、金額によってはプラスローンを利用できない可能性もあります。
こちらも買取価格次第になるので、気になる方はガリバーの店舗で相談してみると良いでしょう。
差額を再ローン契約
売却額を引いた差額が大きく、再ローン契約する場合、以下の3つが考えられます。
- 新車に買い換え:ディーラーで新車ローンに残債を上乗せする
- 中古車に買い換え:中古車販売店で次の車のローンに残債を上乗せする
- 売却だけ:差額分をカードローンなどで借りる
車の買い替えを伴う場合は1.2.のように簡単な手続きで済みます。
お店の営業マンに事情を説明し、次の車のローンに残債を上乗せしてもらえばOKです。
3.のように買い替えを伴わない「売却だけ」の場合、差額はカードローン等で用立てる必要があります。
車を購入しなければ自動車ローンを新規に契約することはできないため、使用用途自由のカードローン等を利用するのが現実的です。
ただし、カードローンは自動車ローンに比べて金利が高く、基本的にはおすすめしません。
差額は大きいがどうしても売却しなければいけない時に、最後の手段として使う事を想定しましょう。
書類も抜かりなく!ローン残債ありの車売却時の必要書類
これまでローン残債をどうすればいいのかについて説明してきましたが、車売却のためには諸々必要書類があります。
ローン残債ありの車を売るとき、車検証上の所有者が誰なのかによって必要書類が変わります。
車検証を確認し、所有者の欄を確認しましょう。
- 所有者が自分のケース
- 所有者がローン会社のケース
ここでは、2つのケース別に必要書類をご紹介していきます。
所有者が誰であるかによって車売買の契約先も変わりますので、抜け漏れなく押さえておきましょう。
1.所有者が自分のケース
所有者は自分になっている場合、自分の車として売却することができます。
その際の必要書類は、一般的な車売却と変わらず下記の通りです。
所有者が自分の場合の車売却必要書類
- 自動車検査証(車検証)
- 自賠責保険証明書
- 自動車税納税証明書
- リサイクル券
- 印鑑登録証
- 実印
軽自動車の場合は上記のうち印鑑登録証と実印が必要ありません。認印で構わないので、売却手続き時に用意しておきましょう。
また車検証に記載の住所から引越ししている場合などは、現住所とのつながりが証明できる戸籍謄本が必要です。
2.所有者がローン会社のケース
ディーラーローンや中古車販売店のローンで車を購入している場合、名義はローン会社またはディーラーになっているケースが大半でしょう。
この場合、車売買の契約は買取店とローン会社の間で交わすことになります。
買取店とローン会社が協議して手続きをしてくれるのであれば必要書類は特にありません。
しかし買取店から「先に所有権解除をして欲しい」と言われた場合、あなたからローン会社に所有権解除を依頼することになります。
所有権解除を依頼するためには、まずはローンを完済する必要があります。その後、以下の必要書類を用意した上で所有権解除を申請します。
所有権を解除するための必要書類
- 所有権解除依頼書
- 免許証
- 車検証
- 自動車税納税証明書
所有権解除依頼書は、ローン会社に依頼をすれば郵送してもらえます。
ディーラーでローンを組んでいた場合は上記の書類を持ってディーラーへ行きます。別途ローン会社でローンを組んでいた場合、上記の書類を郵送します。
その後、ローン会社から
- 譲渡証明書
- 委任状
- 印鑑登録証
の3点が送られてくるので、運輸支局に出向いて所有権解除手続きをしましょう。
少し面倒に感じるかもしれませんが、一般的には上述の通り買取店が代行してくれます。
所有権解除をして欲しいと言われるのは、ローン残債が売却額で補填しきれないケースに多いです。
以上、ローン返済中の車を売る際に必要な書類について解説しました。
ローン残債がある車の売却は、何よりも「車を高く売る」ことが重要なカギを握ります。
そこで次章では、少しでも車を高く売る方法をご紹介します。
ローン残債以上の売却額を目指そう
大前提として、ローンが残っている車を売るなら、ローン残債よりも売却額が上回ればほとんどの問題は解決すると言ってもよいでしょう。
見てきていただいた通り、手続きにかかる手間も家計への負担も大違いです。
そのため今の車をいかに高く売るのかがカギを握っています。本章では、車を高く売るための3つのコツをご紹介します。
車を高く売るための3つの方法
- 車一括査定を使って3社以上で競わせる
- 高く売れる時期に売る
- モデルチェンジ前に売る
車一括査定を使って3社以上で競わせる
車の買取価格を上げるには、最低でも買取店3社以上で競わせましょう。
中古車の価値は流動的なため1社だけでは足元を見られがち。また「車の適正価値」もユーザーからは分からないため、最高価格が提示されることはありません。
この記事を読んでいる方は「今・近日中に売りたい」と思っているでしょうから、
- 高く売れる時期に売る
- モデルチェンジ前に売る
という方法が使えない場合もあり、これが一番有効な方法になるでしょう。
複数社を競わせて車の正しい相場を把握するわけです。また相見積もりを取って競わせることで、思った以上に車が高く売れることがあります。
とはいえ、複数社の査定を受けるのは非常に面倒ですよね。そこで活用したいのが、車一括査定というサービス。
これは無料で使えるインターネットサービスで、売りたい車の「車種・年式・走行距離」を入力すれば、複数社に査定の依頼が一斉にできるというものです。
面倒な情報入力・申し込みが一度で済んでしまうため、複数社の査定を受けるのに最適です。
あとは連絡をしてきた買取店と査定日を調整し、自宅で査定を受けるだけです。
各社の査定額を比較して、一番高い業者に売ればいいので高額売却を狙うならぜひ検討しましょう。
注意点として、申し込めば自動で査定に来てくれるわけではなく、車の情報を受け取った複数買取店から電話連絡が入ります。
この電話がストレスになる…というケースもありますので、査定日候補を事前に決めたうえで申し込み、買取店との連絡は最小限に抑えましょう。
高く売れる時期に売る
車は高く売れる時期というのがあり、「1月〜2月、7月〜8月」の大きく分けた2回のタイミングがあります。
中古車は
- 新生活需要が高まる3月
- 決算期の9月
に最も売れます。その時期に販売する在庫を確保するため、各買取店は少し前から在庫確保のための買い取りに力を入れます。
そこで1、2か月前、つまり毎年1月〜2月と7月〜8月に積極的に買い取りを行うのです。
この時期に買い取った車は、購入需要が高まる翌月にすぐに売れることが予想されます。買取店からしても長期在庫になるリスクが低いため、高値をつけやすいのです。
また在庫確保のため予算を確保している関係で、買取価格を上げやすいとも言えます。
モデルチェンジ前に売る
車の買取価格は、需要・供給の関係によって決まります。
需要が下がってしまう要因としてモデルチェンジがあり、旧モデルになってしまうと買取価格がぐっと下がってしまいます。
購入者から見れば、新しいモデルの方が欲しい(需要が高い)からです。
そこで、価値が下がるモデルチェンジの前に売ってしまう方が高額買取が見込めます。
車は1年に一度、年次改良と呼ばれる小改良があり、これは買取価格に大きな影響は与えません。
しかし2〜3年に一度のタイミングで行われるビッグマイナーチェンジは、安全装備や外装デザインの変更等があります。こうした変更が行われると、旧型の買取価格は下がってしまいます。
また5〜10年に一度行われるフルモデルチェンジは、内外装のデザインまでが大きく変わります。
車の基本的な部分がまるっと入れ替わり、完全な新型となります。この場合、今までのモデルは「型落ち」として需要がガクッと下がってしまうのです。
- 小規模変更:そこまで価値は下がらない
- ビッグマイナーチェンジ:旧モデルの価値は下がる
- フルモデルチェンジ:完全な新型変更・旧モデルの価値は大きく下がる
モデルチェンジ情報は、ネットでメーカーHPや情報サイトを見れば簡単に調べられます。
こまめに情報をチェックして、近々大きなモデルチェンジがある情報を掴んだ場合は早めの売却を検討しましょう。
ここまでご説明した車を高く売る方法は、組み合わせることで効果がさらに増します。
もちろん、高く売れる時期やモデルチェンジのタイミングが全て揃うことは少ないので、どちらか一つだけでも上々でしょう。
どの方法を活用するにしても、複数社の査定だけは受けるようにしてください。
まとめ
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
今回はローンが残っている車を売るために知っておくべき情報を解説しました。
ローン中の車を売ることは可能ですが、
- 自己所有なのか
- ローン会社所有なのか
これによって対応が変わりますので事前確認は必須です。
また車売却額がローン残債を上回るかどうかが対応の分かれ目。売却額がローン残債より少ないと手間が増えてしまいます。
ローン中の車を売るならまずはローン会社に問い合わせて「正確な目標査定額」を把握しておきましょう。
複数社の査定を受ければ、正確な査定額がわかりますし、買取店が競合するため、買取価格が上がることも期待できます。
複数社に査定依頼をする場合は、申し込みが一回で済む車一括査定を活用しましょう。※業者対応はそれぞれ必要になります